DC色々体験記 2002年5月

 

5月某日 モール(ワシントンD.C.中心部の緑地帯で、周囲には博物館群がある)

車で初モール。迷ってしまい、大きな白い建物についたので、これが有名な「リンカーンメモリアル」かと思ってとりあえずみていたら、どうも様子が違う。実は、「ジェファーソンメモリアル」。中にはジェファーソンの立派な像。

その後、ホロコーストミュージアムへ行き、たまたまもらった入館証代わりの「写真付き殺された人の履歴書」(何パターンかあるらしい)が、31歳で殺された若者(ドンピシャ同世代)であり、読んでいくうち、ブルーな気持ちになる。館内はナチの歴史に沿って彼らの残虐非道な行為が淡々と検証されていく。こんなひどいことしたんですよ!などと押しつけがましく言うまでもなく事実を並べるだけ。でも迫力があり、人々の顔は皆真剣。

感想、「こりゃアメリカ人は、親イスラエルになるわな」。

その後、サックラー美術館、フリーア美術館を駆け足で回る。サックラー、フリーアは、東洋美術への関心の高いコレクターの存在及び、その関心がどこかずれたものであることに興味を抱く。アフリカ美術館(写真)は収穫。人間のもつプリミティブなパワーが伝わってくる。

 

 

5月某日 ボルチモア

サルサのライブを聞きに友人と3人でボルチモアへ。ライブは最高!だったのだが、帰りに銃撃事件に遭遇。帰り、車に乗り込みさあ出発、と思っていた瞬間、ボンボンという音。銃声?と一瞬思い、首をすくめるように身を低くしたが、爆竹や運動会のピストルのような、また、テレビでよく聞くようなパンパンという乾いた音ではなく、車の天井、ボンネットに何か当たっているような低い音の響きで、思わず車の屋根の方を見た。と同時に5,6発なった音は鳴りやみ、前方30m位先の交差点の手前にいた若者の集団(4,5名)が、交差点の左へ駆けていって見えなくなった。銃声?と疑問に思いつつ車を走り出させ、彼らのいた交差点を左折。すると、交差点の向こう側の道路に、突っ伏して倒れている男性が見えた。血は流れていなかったので、酔っぱらい?とも思ったが、道路の真ん中に、顔面を地面にこすりつけるような形で伏せているのは明らかにヘン。照明が当たっているポイントだったのか、やけにはっきりとライトに映し出されていた。そばを泣き出しそうになる女性を支えながら男性が逃げるように歩いている白人のカップルがいて、やはり銃撃事件かと思い、急に恐ろしくなった。銃撃された人の生死は分からない。怖い街ボルチモア。

 

 

5月某日 動物園

車を地下駐車場でこすってしまい、右後方部に大きな擦り傷。半泣き。

モールに行こうと車を出したが、ロッククリークですでに渋滞。結局何もせずにコネチカットを北上して動物園へ。2時間。家族連れでにぎわう園内を一人歩くのはヘンかもしれない。しかし駐車場代を払えば入園料自体は全くの無料、というのはスバラシイ。パンダはおやつの時間で、氷付けの果物(すぐ食べてしまわないための配慮と思われる)をむさぼっており、決して放り投げて氷を割ろうなどという程度の知恵すらない様子のパンダに、ぬいぐるみからは感じられない「野生」を見た。写真はかわいいプレーリードッグ。

 

5月某日 モール

昼から出かけて、バスでモールへ。当アパートは地下鉄は遠いがバスの便がよい。目の前のバス停(Wisconsin沿いの、Newarkとの交差点のバス停)から30,32,35,36などで、ジョージタウンを突っ切りペンシルバニア通りを通って、モールの真ん中へ行くバスが出ている。最初にお金を払わずに乗ろうとして大声で運転手に止められ恥を書く。25分ほどでモールへ(帰りは35分ほどかかったが)。歴史博物館、自然史博物館で1時間半ずつ。最後、40分ほど、ナショナルギャラリーの2Fの東側部分を見る。以下感想。

 

歴史博物館

車、農業、海運など、テーマごとの発展を追うという展示。しかし歴史の浅い国だな、というのが正直な感想。「農業」というテーマの部屋にあるのはいきなり大型のトラクター。日本なら青銅器の鍬の模型など出てくるところ。

「ファーストレディー」、「大統領」、が独立のテーマになるところがすごい。日本で「首相」が、この位置づけにはなり得ないだろう。その意味で、いわば「王様」なのだと改めて思う。

軍隊のコーナーで「日系人」の活躍がしっかり取り上げられているのは面白い。アフリカ美術館やホロコーストミュージアムほどではないにせよ、過去の過ちを糾弾・反省する姿勢(を持った圧力団体の影響)が読みとれる。日本で同様の企画あるだろうか、、とふと思った。

 

自然史博物館

T−REXや象の剥製等、予想通り。ちょっと子供向。エスキモーや現代アジア、アフリカの生活文化の展示も。文化人類学的な意味であろうか。I-MAXシアターでアフリカのドキュメンタリーを見る。40分。7.5ドル。T-REXのだと、3Dだったらしい。残念。

宝石のコーナーが人気。何見に来てんだか、と思う。

 

ナショナルギャラリー

時間がなかった(40分)ので、2階の東側のみ、早足で鑑賞。印象に残るモノ。

展示室33。ラファエロ(RAPHAEL)、16世紀イタリア:明るいタッチ。表情もいい。

VAN DYCK(1579-1671):Marchesa Balb。格調高い、しかも生き生きとした表情。どこか窮屈そうにも見える顔に、性格が描写されているような気がする。黒服の描き方もすばらしい。 Rubens:荒いタッチなのか。ライオンの絵は、まとまりにかける気がした。

REMBRANDT。自画像1650及び1659は秀逸。気難しいそうなおじさんぶり(この人とは友達にはなれない、と思わせる)が、社会との隔絶した感じをかもし出しており、実に良い。59年のは、更にそれが深まっている感じ。A girl with a groomもいい。 BOTTICELLI(1445-1510): Ginliano de' Medici の「のっぺり」した平面ぶりもよい。The Advation of the Magi Portrait of a Yothも印象に残った。

Da Vinci(1452-1519):Ginevra de' Benci は「ヨーロッパ以外で唯一見られるダビンチの絵」らしい。冷徹な表情と白い肌のマッチ振りが印象的。