DC色々体験記 2002年9月

 

9月某日 POWWOW、植物園、ナショナルギャラリー

POWWOWという、ネイティブアメリカンのイベントをモールの特設テントでやっていたので見物に。

民族衣装を身にまとったネイティブアメリカンが、大きな円を描く感じで太鼓の音に合わせてぐるぐる回っている。あるモノは踊っているが、だらだら歩いているだけの人も。延々これが続いているのを、周囲の観客席から見る大勢の見物人。再来年にオープンするネイティブアメリカン博物館との関係があるのは確かだが、時期も含めイマイチ趣旨が不明。ただ、大勢(300人近く?)のカラフルなネイティブアメリカンを見る限り、彼らのプレゼンスはしっかりと示されていたことは間違いない。でも余りにカラフルな彼らの衣装、昔そのままとは思えないのだが。まあ、時代考証など言わずおおらかな気持ちで見てあげるべきか。

観客は多い。無料イベント大好きアメリカ人。

 

続いて植物園で休憩。スミソニアンの一角の巨大な温室は無料の上に(当然だが)空調完備という快適な空間。実際ずーっと読書にふけるおじさんもいたりする。中心にある巨大なジャングル以外にも、蘭の部屋や、サボテンコーナー、「へえ、バニラってこんな木なのね」など素朴な感動を味わえる食用植物コーナー、太古を思わせるシダ植物コーナーは楽しい。自分のような植物に全く興味のない人間にとっても2,30分の時間調整などには最適。

結婚式の記念写真を撮っているカップル発見。モールの利用方法も色々。

 

ナショナルギャラリーのエジプト展へ。鳴り物入りのこの企画、展示品は少ないが映像あり、実際の墓の再現ありで、コンパクトにまとまっている。黄金の仮面は、頬や顎など肉感的で写実的なのだが、なぜ目だけはデフォルメされているのだろう。横向きの平面的な人々も、目だけは正面だし。古代エジプト人の技術の高さに鑑みて、きっと何かの意図あってのこと、と踏んでいるのだが。

閉館時間の5時直前だったが、最後に20世紀絵画コーナーでピカソを見て締め。ここに来ると安心する。

 

9月某日 リッチモンド観光。

リッチモンドはDCからは南へ約90マイル(=150km)のメリーランド州の州都。DCからは、道も快調で1時間40分ほどで到着。到着後すぐ、トラベラーズインフォメーションセンターへ。ボランティアとおぼしきお婆さんに地図をもらって、レストラン街を教えてもらい移動、昼食。最近の量の多いアメリカのメシにも慣れてきた。

すぐ、旧ホワイトハウスとその横の博物館へ。博物館は南北戦争の兵士の服、鉄砲があるだけの小さめの博物館。すぐ飽きる。2時45分からホワイトハウスツアー。南北戦争当時の南側(アメリカ連合)の首都リッチモンドで、大統領ジェファーソン・デイヴィスが過ごした公邸。「本物」よりはかなり小さいが、白い建物でまさにホワイトハウス。一度は散逸したヴィクトリア調の家具を再収集した内部は、当時の会議室、寝室、書斎、子供の部屋等を忠実に再現しており、「1865年このドアを通ってリンカーンがここに滞在した」等の詳しい解説付きで案内してくれる。ただ、1時間は長い。博物館とセットで9.5ドル。

かつての首都、という言葉の響きとは裏腹にリッチモンドの街は小さい。日曜とはいえ人影も少ない。「南北戦争」との言葉から、そうかこれは日本で言えば、南北朝時代の南朝の都、吉野なのだ、と考えて何故か納得。

続いてエドガーアランポー博物館へ。閉館寸前なので入館せず。詩人(推理小説作家ではない)のポーは、当地で13年を過ごしたらしいが、その当時の家を博物館にしてるわけではなく、単に「リッチモンドで一番古い家」を博物館に充てている、と聞いて何となくがっかり。

4時30分、駆け足でVirginia Museum of Fine Artへ。首都近郊の州の美術館、との印象から日本で言えば、千葉県立美術館か、と勝手な想像。しかし大はずれ。千葉県には申し訳ないが、広い展示室に、エジプト、古代ローマから始まって、中世、ルネサンス、19,20世紀美術と主要な時代の主要な作家(ルノワール、モネ、ゴッホ、セザンヌ、スラー、シニヤック、ピカソ、ブラックetc)はとりあえず全て押さえてあると言って良い。傑作ばかりを集めているわけではないが、充分2日は楽しめるはず。現代美術部門の充実もスバラシイ。言っては悪いが、州都とはいえヴァージニアの小さい街にこのような作品が集まっているとは。これを30分で回るつらさ。再来を誓う。金があるところに美術品は集まる、との定説を思い出し、日本の金持ちとしての歴史が浅いこと、また建国からの歴史としては短いものの、アメリカの金持ち(=大国)としての歴史の深さを再認識。

その後州議事堂へ。丘の上に立ち、大きさを精一杯アピールしている建築は、玄関に力を入れすぎで、実用スペースは狭く、虚勢を張っているようにも見える。入館時間は過ぎていたので周りをぶらぶら散策。建物のすぐ近くまで入れるが、誰も監視がいない(建物内部にはいるが)ことに、アメリカの公共施設って厳戒態勢にあるんではないの?と思う。無防備だ。でも県議会のレベルでいえば、日本でもこんな感じかもしれない。

6時過ぎにリッチモンドを発、8時前にDCへ。充実の日曜日。

 

9月某日 ケネディセンターでのナショナルフィルのコンサートへ

8時開演。席はQの13,15とまずまず。観客は、さすがにクラシック、土曜なのにスーツ姿の人が多い。Tシャツジーンズはまずい感じ。良かったちゃんとした格好で行って。

曲目:BERLIOZ - Roman Carnival Overture

BRAHMS - Concerto in A minor for Violin, Cello and Orchestra, Op. 102 or Double Concerto

IVES - Three Places in New England

RIMSKY-KORSAKOV - Capriccio espagnol, Op. 34

3つ目の、IVESは訳がわからん感じでよい。最後のThe Endsは笑えた。観客も巻き込んでのまさに余興。指揮者も役者で、演技も上手くこのサービス精神はアメリカならではなのか?とも。もう少し、大音響が響いてくるのかとも思ったが、でも落ち着いたひとときであった。もうちょっと安ければ(チケットは56ドル)いいんだけど。

しかし安い席(19.5ドル)となれば、オーケストラの背後で常に観客の視線を浴びる席になってしまう。その席の観客は、常に観客の視線を意識しているため、どことなくきまりの悪い表情をしているようで、ちょっとかわいそう。でもどうせなら、曲に会わせて左右に揺れるとか、ウェーブをしてみるとか、これも運命と場の雰囲気を感じ取り、分相応の対応をする潔さが欲しいところ。