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フィルムのデジタル化方式の変更

〜 フィルムスキャナーからスライドコピーアダプタ−へ 〜


作成日 平成30年5月21日

1.これまでの写真保管の歴史


1.1 過去の写真の扱い
 昔は、印刷された写真のみが唯一の写真で、ポジフィルムはマウントにセットして保管していましたが、ネガフィルムは、ストリップフィルムのまま放置されていました。デジカメの進展で、写真はデジタル保管となってきたため、2012年に、Epson GT-X820を購入し、過去の写真をデジタル化することにしました。
 かなり時間はかかりましたが、ネガ・ポジフィルム、印画紙情報は、すべてデジタル化が済んでおり取り出しや閲覧もパソコン上でできるようになっています。

2フィルム写真の状況

2.1 今日のフィルム使用状況
 ほとんど、デジタル一眼を使用しており、銀塩カメラは、年に1〜2度くらいの使用になっています。というのも、フィルム代、現像代はまだしも、現像の出来上がりに時間がかかるのと、フィルムからパソコンへの取り入れの手間がかなり必要であったからです。
 それと、特にネガフィルムをスキャナーからデジタル化した場合、出来上がりの色合いに問題があることが多く、ネガフィルムはめったに使わなくなっていました。

2.2 ネガフィルム現像の現状
 DPE店は淘汰が進み、我が家の近所も、車で10分くらいのところに1店残るのみでありますが、ポジフィルムの現像には3〜4日必要ですが、久々にネガフィルムを現像して驚きました。なんと15分で現像ができるのです。現像代は、この時650円でしたが、フィルムも、フジの業務用であれば、400円くらいで入手可能であり、デジタル化が簡単にできるのであれば、使えるなぁと考えました。

2.3 フィルム写真の魅力
 撮影枚数が限られているっていうことが、今ではかえって魅力に感じます。デジタルカメラだと、一回に数百枚撮る事がざらですが、一回に撮れる枚数が36枚しかないということ。それだけ、被写体を選ぶし、真剣にもなり、撮った時の記憶が後になっても鮮明に残る事が多いのです。
 出来上がりの綺麗さは、デジタルカメラにまず勝てないですが、時々、露出・現像方法の違いからか、味のある写真が出来上がることがあり、この時には感動しますね。






3ネガフィルムのデジタル化の方法

3.1 Epson GT-X820でスキャン
 EPSON Scanというソフトを使ってスキャンするのですが、フィルムをスキャンする時には、等倍、4800dpiにセットすることにしています。フィルムは6枚単位のストリップフィルムをそのままセットすることができ、6枚をスキャンするのに、8〜10分くらい必要です。できあがりは、TIFFがJPG ファイルになります。

3.2 スライドコピーアダプタ−(Nikon ES-1)使用の場合
 スライドコピーアダプタ−は、以前から持っていたのですが、スライドファイルマウント専用であり、構造上、6枚単位のストリップフィルムをそのままセットすることは出来ませんでした。そこで、ネットの自作例なども参考にして、ネガストリップフィルムホルダーを作成することにしました。

3.2.1 ネガストリップフィルムホルダー作成方法
3.2.1.1 材料
   A4の硬質カードケース(100均にて)
   乳白色のアクリル板(厚さ1o、500円くらい)
   アクリル用接着剤(500円くらい)
 3.2.1.2 硬質カードケースの加工
 カードケースの端は、ただ2枚くっついているのではなく、1mm程度のスペーサーを挟んで接着されています。その部分をホルダーの「底」として使えばフィルムを真っ直ぐに保持できます。カッターを使用して、フィルム面が見えるように穴あけ加工しました。
 3.2.1.3 アクリル板の加工
 アクリル板を二枚張合わせ、その間をカードケースがくぐるようにすればよいので、アクリル板の一枚にフィルム1枚(36o×24o +α分)の穴をカッターで切り取りました。アクリルは大変硬いので、何度カッターで線入れをして、最後は、ラジオペンチで摘まんで切り出しました。
 アクリル板の張り合わせは、上下に細く切り出したアクリル板を2枚重ね、それを接着剤で張り合わせました。(従って厚みが4oになりES-1にセットできるぎりぎりのサイズになりました)
 接着剤は非常に強力で、一旦付いてしまうと、ずらすことは不可能になります。この位置によって、スライドコピーアダプタ−にセットされるネガの位置が決まりますので慎重にセットしました。
3.2.2 デジタル化の方法
 使用する機材はD810(デジタル一眼)、PK13(中間リング)、Ai Micro Nikkor 55o f/2.8s (レンズ)、ES-1(スライドコピーアダプタ−)、自作ネガストリップフィルムホルダーです。
 光源はスタンドにつけたLED球(60wクラス)、絞りはf/8.0 、ISO100で絞り優先で撮影していきます。ピントはフォーカスエイドを頼りにしています。シャッタースピードは、だいたい1/30〜1/8くらいになります。
3.2.3 その他
 D810の分解能は、5180dpi (7360×4912 )ですから、EPSON Scanの4800 dpi以上の詳細情報のスキャンが可能です。なお、NIKONから、ES-2なる、35mm判フィルムをデジタルデータ化できるアクセサリ(21,600円)が2018年03月30日に発売されましたが、ES-1とネガストリップフィルムホルダーは、まさにこれと同じ機能を持っています。こちらは約1,100円の費用のみでした。現像方法の違いからか、味のある写真が出来上がることがあり、この時には感動しますね。

























4両方法(GT-X820 とES-1)の比較

4.1 セットアップの問題
GT-X820は、スキャナーの原稿マットを取り外し、ストリップフィルムを35mmストリップ・マウントフィルム兼用ホルダーにとりつけてスキャナーにセットします。
ES-1は、D810にPK13、Ai Micro Nikkor 55o f/2.8s 、ES-1(スライドコピーアダプタ−)、自作ネガストリップフィルムホルダー(フィルムセット後)を取り付けます。
どちらもそんなに手間はかかりません。
4.2 作業時間の問題
両方法ともネガフィルム6枚単位で処理しますが、GT-X820が1枚のフィルムをスキャンするのに1分以上かかるのに対して、ES-1は、D810のシャッターを押した瞬間に終了するため、圧倒的にES-1の方が早くて簡単です。
4.3 スキャンの正確性の問題
ES-1を使ってみて感じた事ですが、こちらのほうがきれいにスキャンできます。GT-X820のほうは、微妙な振動が影響するのか、4800dpiも分解能はないと感じます。
4.4 ゴミ付着の問題
どちらも、セット前に、ブロワーでゴミを吹き飛ばしてからセットしていますが、ES-1のほうが、明らかにゴミ付着が少ないです。
4.5 色合いの問題
GT-X820はEPSON Scanというソフトのなかで、ネガポジ変換をおこなっているのですが、出来上がりの色合いがあまりよくありません。ES-1は、ネガポジ変換をどうやったらきれいに出来上がるかがポイントだったのですが、ネットや書籍を参考にして、ようやく、まあ満足できる方法にたどり着きました。

5ネガポジ変換の方法

5.1 ポイントはホワイトバランス
ネガフィルムを現像すると、オレンジ色のベース色のなかに画像があります。このベース色は写真の範囲外ですから、スキャンする際に除いて処理するのが普通だとおもっていましたが、なんと、そのオレンジ色のベース色を含めてスキャンし、そのポイントでホワイトバランスをとるというのです。
5.2 Photoshop CS6による処理
5.2.1 Photoshopの編集コマンドに「階調の反転」を使ってネガポジ反転をおこないます。
5.2.2 オレンジ色のベース色は、ネガポジ反転によって、薄い水色に変っています。
5.2.3 この薄い水色の部分をホワイトバランスのポイントにします。
5.2.4 あとは、Photoshopの3つの自動補正(明度、コントラスト、彩度)を実行したうえで、
   Tiffファイル保存します。
5.2.5 ここまでくると、デジタル一眼のRAWファイルと同様になりますので、
   Lightroomで読み込んで、微修正を加えて完成です。
5.2.6 この方法の特徴
この方法でデジタル化した場合、なぜか、少し青色系にふられるように思っています。Lightroomの微修正とは、色温度を上げる、赤みを増やすといった補正が主となります
5.2.7 後でわかったこと
EPSON Scanというソフトでのネガポジ変換は、ホワイトバランスをとらずにPhotoshopで3つの自動補正を行った時の返還結果に良く似ていることが分かりました







  5.2.8 PhotoshopC6による補正の比較

写真1

5.2で行った自動処理による結果

Nikon F
Micro-Nikkor 105mm f/2.8S
Fuji Superia PREMIUM 400
(105mm F5.6 1/1000秒 ISO400)

生田緑地ばら苑
【バラ:レオナルド・ダ・ビンチ】


やや、紫よりの色合いです。


写真2

写真1をLightroomで色調補正

Nikon F
Micro-Nikkor 105mm f/2.8S
Fuji Superia PREMIUM 400
(105mm F5.6 1/1000秒 ISO400)

生田緑地ばら苑
【バラ:レオナルド・ダ・ビンチ】


レタッチで色合い補正です。
これが難しい処理です。


写真3

デジタル入力による色合い

Nikon D810
Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
(60mm F2.8 1/1000秒 ISO100)

生田緑地ばら苑
【バラ:レオナルド・ダ・ビンチ】


こちらがデジタル。これが記憶色で、見たとおりです。


6銀塩カメラも楽しいよ

6.1 撮影情報の記録方法
銀塩カメラで撮影した場合、レンズ情報、絞り、シャッター速度、被写体の情報をメモっておかないと、デジタル一眼と同等にはなりません。
私の場合は、スマホの音声録音機能で、情報を記録することにしました。いろいろやってみましたが、これが一番簡単で正確でした。

6.2 Exif情報の変更
D810を使ってデジタル化しましたので、Exif情報は、スキャンした時の情報になっています。これを銀塩カメラでの撮影情報に変えるには、Exiftoolというフリーソフトを使います。一旦、元の写真データを変更してしまえば、あとは、デジタル一眼で撮った写真と全く同等の扱いが可能になります。

6.3 Nikon F を使ってみました
Nikon F というと、今から50年前のカメラです。ふとしたきっかけで、このカメラを入手しました。Nikon F2 Photomic A を持っているにも関わらずです。Nikon F2 Photomic Aは、現在、Nikonへメンテナンスに出したままになっていますので、2回ほど、Nikon Fを連れて花撮りに行きました。このNikon F は、露出計がないので、露出をある程度、頭に入れておく必要があります。
私の場合は、「晴天の時は f8 1/250 ISO100」だけ暗記しています。あとは、曇ってきたら、一つ絞りを開ける。全曇りだったら二つ絞りを開ける。といった、ざっくり調整で撮影しました。ネガフィルムの特性として、露出が適当であっても、あとから調整がかなり効くので、大丈夫ということです。できあがりを見てみると、露出はあまり問題ではありませんでした。ポジフィルムだったらこうはいかなかったのではと思いました。

6.4 ネガポジ変換は奥が深い
フィルムから写真を作り上げるまでの過程は、銀塩写真の時代から、長い歴史があって、フィルム会社には、長年の蓄積があるのだと思います。デジタルカメラでも「記憶色」を再現するために、撮影画像に対してコントラスト・トーン・彩度を調整しており、自らでも調整は可能ですが、調整範囲が広すぎてどこから手を付けたらよいのか分からないこともあります。明るさ、コントラストの調整は比較的わかりやすいですが、色合いの調整は、つくづく難しく感じます。