バイオリン族とは

   弓を使うことによって、息を吸うときにも歌い続ける」楽器です。

これをするのは他に、バンドネオンとハモニカくらいではないでしょうか。

ピアノ、クラリネット、ギター、マリンバ、ドラム、、、、これらは楽器に演奏者の力を当てる、「押し」の演奏形態です。

 管楽器や一般的な声楽は、息継ぎをしながら歌を押し出します。

ピアノやギター、打楽器などは直接息を吹き込まないにせよ、歌を自分の内側から外に出します。

ところが、バイオリン族の弓は「力(息)を奏者の内側に吸い込むことで発音する」ということをします。

 弓の使い方には、まず「上げ弓」「下げ弓」という2種類があります。

 弓の先が上の方向に進んでいるように見えるのを上げ弓、逆に下に押すように見えるのを下げ弓と呼びます。(チェロや、バイオリン族ではないが胡弓のように構える楽器では、弓は左右に動いて見えるのでわかりにくい)

実際の運動は腕を上下させるのとは少し違うのですが、とても長くなるのでここには書きません。

下げ弓が、他の楽器を演奏するときと同じ「押し」による発音です。

上げ弓とは、例えばハンマーを下ろすために振り上げる、「発音するための準備の動作」、あるいは、人の声で歌うときの息継ぎに音程がついているようなことです。

上げ弓と下げ弓。

「吸い弓」「吐き弓」と呼びたいくらい、呼吸をつけて練習を始めます。

少し進んでくると、どちらも同じ音色で弾けるような訓練もするのですが、それは水泳選手にとっての陸上トレーニングのようなもので、実際の演奏では、下げ弓に相応しいフレーズを下げ弓で、上げ弓は上げ弓の表情を必要とするところで使います。そのために、必ず奏者は弓使いを工夫して考えます。

失礼ながらバンドネオンのしくみについてはよく知らないのですが、ハモニカの「吸う、吐く」は音程の並びに決定されます。バイオリン族の「吸う、吐く」は、原則としてどの音でも発音できるので、どんな音程でも必ず二通りの表情ができるわけです。

バイオリン曲の名曲には、極端に休符の少ないものがときどきあります。

例えばメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲では、まるでオーケストラの前奏を待ちきれないかのようにソロバイオリンが始まると、1ページまるまる、盛りだくさんな歌を歌いきるまで休符がありません。

そうそう、無伴奏で有名なバッハのシャコンヌの楽譜では、和音内の長さを制限するための部分的な休符があっても、メロディーの切れ目になる休符は、20分前後かかるこの曲の最後まで全くありません。

実際は、演奏者は声楽家のするように、歌に隙間を作ってこっそり息継ぎをしています。でも、演奏そのものは、バンドネオンの蛇腹が広がったり縮んだりするのを見るように、途切れず聴衆を惹きつけます。

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