「だったらもうやめちゃいなさい!」と口走るとき
〜母親のぼやき。個人的な反省です。
- 「子供本人がやりたいと言うので」
- 「親がやらせてみようと思った」
子供の習い事の始まりは、この二通りあるかのように見えます。でも、実際に始まるのは「親がやらせてみようと思った」ものだけです。子供が「お願いだから習わせて」と言ったとしても、親が「いーかも」と思わなければ始められないからです。私も、自分の子供にいくつか習わせたものは本人に「やってみたいなあ」と言わせました。そう仕向けるべく機会を作って狙いました。そればかりか本人が「やだー」と言うのに「1年だけやってみて。きっと楽しくなるから」と頼んで習わせたものもありました。その反対に、興味を持っているのは知っていてもあえて私が素通りしたものもありました。その後、どれも「時間がなくなった」ことを口実にやめさせてしまいましたが、なんのことはない、塾通いを始めると、それまでの習い事が正直なところ私にとって邪魔になったのでした。そういえば私が子供の頃、両親も同じだったと今になるとわかります。子供のため、と言い訳しながら親はいつだって勝手なものです。でも、言い訳しますが私は「気持ちも時間もかけられないものにはお金もかけられない。甲斐性の無い親でごめんね」と謝っておきました。
子供の習い事って、なんのためにあるのでしょうね。
親は「なにかちょっと、できることがあるといいと思って」、「自分が習ってきて良かった、または習いたかったこと」、「できれば将来この道に進ませたい」、いくつかあると思います。
これは私自身の反省ですが、「やりたいことをやらせてやらせてやる」のは、「食べたがるものを食べさせる」と違います。習い事は、蓄積であって代謝ではありません。なぜ習わせたいのか、なぜそれなのか、小さなことで良いから、習わせる親としての認識が必要でした。
おけいこがどう始まったにせよ、しばらく時間が過ぎて新鮮味が薄れ、やっぱりお友達と遊んだりテレビを観たりゲームをしたりする方が楽しくなってくると、お決まりの「ちっとも練習しない」に陥ることがあります。むしろ、ここが本当の習い事の始まりかもしれません。そして親は「練習しないならやめなさい!」と口走る。
子供がなぜ練習しなくなるか、理由は簡単です。難しくなるからです。最初の新鮮な頃は、することが簡単なのでわかればできてしまいます。だから楽しいはずです。でも、程度がだんだん複雑になってくると、すぐにはできないことばかりになります。ちょっと頑張らなければいけなくなる。その頑張りの部分を指導者がなだめながら引っ張りあげ、できそうなところで励ますのがレッスンです。でも、終わって家に帰って同じことを今度はひとりでしなければいけない。レッスンのときにした練習の段取りを忘れてしまうこともあるし、やってみてそれで良かったのかわからなくなることもしょっちゅうです。簡単な作業ではありません。普通の子供にはつまらないと思います。
家で練習しなくなったようだと感じたときには、子供がちょっと辛いのかな?と思ってほしいのです。した、しない、だけを見て「ちっとも練習しない」と叱っては可哀想です。
「先生にまかせて親は口出ししない」
どういう状態をそう言うかによって、正しいとも間違いとも思います。具体的にバイオリンのレッスンで言えば、「先生が練習しておきなさいと言ったことを親も言う」のは、子供を追いつめることがあるので避けた方が良いでしょう。ならば「練習しなければ叱られるのは本人」と、練習しないのを放っておいていいか、というと、いけません。なぜなら、先生は叱ってくれるとは限らないからです。殆どの指導者はが、練習しない子を叱っても効果が無いのを知っています。(たまに怒ってしまうことがありますが、その後、まだ自分が練れていないと反省することでしょう!)では、親は何ができるでしょうか。
実際に、家での練習の様子がわかるのでしたらたまに「曲がまた変わった?」「あれはなんという曲?」と話題にしてみましょう。子供がどんな反応をしても、もしもそれが腹立たしい態度でも肯定してください。「ず〜っとおんなじ曲!」なら、「先生が好きな曲なのかな」など、適当なことを言えばいいのです。明らかに練習から気が遠のいているときには、あまり難しくなさそうなものを「こんな曲弾いてくれると嬉しいな」とつぶやいてみたりする。クラシックのバイオリン曲でなくたってかまいません。それから、バイオリンの話題をみつけてください。「こんな曲があるんだね」「こんなバイオリニストがいるんだって」「バイオリンって、、、ってホント?」とか。「シロウトですから」とおっしゃる親御さんでも「仕事で忙しい」「経済的な余裕がありません」というご家庭でもできることです。この程度の会話をする時間も無いなら、おけいこ以前の問題です。
もう少しできるなら、音楽を家でも聴く。とりあえずは親御さんの好きな曲でもいいと思います。「あれ、このメロディーはバイオリンかな?」とか「これ、バイオリンで弾ける?」と。
でも、せっかくバイオリンを習っているのなら、名曲の小品集でいいからCDの1枚くらいは買ってあげて下さい。たまには演奏会にも行ってください。クラシックなんてわからないと言っている親が「私にはわからないけど、あなたがやっていることに興味を持っているよ」と行動してくれたら、子供は嬉しいし励みになるはずです。
「やらないんならやめなさい」と言えばそれで終わりで簡単ですが、そんなに暴力的にやめさせなくても、おけいこなんて、いつまでも続けられるものではありません。年齢につれて、ほかにもするべきことやしたいことはどんどん増えていきます。バイオリンなら「音楽家になる以外に無い人」のほかは、「バイオリンなんて」やってる場合でなくなるときがきます。受験をどこかで通りながら小・中・高校と続けられたとしても、親元から離れた所で大学生になったら、大学オケにでも入らないと続けにくい。それまで通りに実家にいても、就職すれば時間はとれなくなるかもしれません。独立すれば練習する場所がなくなるかもしれません。家庭をつくれば、また時間はなくなります。自分の作った家庭がなくても、親の介護に追われるかもしれません。
おけいこの環境を守ってもらえるのは子供のときだけ、させてやれるのは親と親の工夫だけです。