DC色々体験記 2003年1月
【2泊3日フィラデルフィア・ニューヨーク旅行】
1日目
朝フィラデルフィアへ。駅からタクシーを拾ってバーンズコレクション(写真は外観)。タクシー20ドル。3時間半があっという間に過ぎる。ルノワール(百数十点あるらしい)もまとめてみるといいもんだ。セザンヌの立体感の方が好きかな。コレクションを、自分の趣味で並べ直すという贅沢をバーンズが堪能している様が想像される。このコレクションに大勢が来て、そして彼の考え(絵の配置)に見入っている。美術評論家としてさぞ気持ちよかろう。別に批判的な意味でなく、批評家冥利に尽きるだろうなあ、と。
夜NYCへ。リンカーンセンターでNYシティバレエ(ナットクラッカー)鑑賞。30ドルの4階席だったが、オペラグラスあって良かった。しかし、演出がずいぶん違うモンだ。ボリショイ(昨年12月)は子供なんか出てこなかった。最後も馬車に乗って去っていくとは。最初に見たボリショイの印象が強かったせいか、ちょっと違和感を感じる。技術的には、ボリショイの方が見せる部分が多かった気がした。
2日目
DCに来てから初めて、通算2度目のホイットニー美術館。常設展は日本語音声ガイド(無料)がよい。Hooperは余り好きではないが、ガイドを聞き深く理解した気になって気分がいい。ジャスパージョーンズや、ウォーホール、リキテンシュタインなど見ていると、作品はもちろん素晴らしいが、作品の観念的な部分に惹かれているせいか、あとで写真でじっくり見ればいいか、という気がしてくる。
午後2時、以前から行ってみたかったJOYCEシアターでコンテンポラリーダンスを楽しむ。音楽と身体性の調和のぎりぎりのところにいるなあ、という感想を抱く。その危うさが楽しいところ。
夜のロックフェラーセンターのスケートリンクは、クリスマスの飾り付けがまだそのままあり奇麗だった。夜日本からの友人との再会。「変わってないねえ!」「まだ8ヶ月しか経ってませんよ!」
3日目
12時5分発のAmtrakで帰る。途中から雪。大雪にならず列車の遅れ等もなくて助かった。
1月7日
米国第108議会開会。開会してから、委員長や委員の割り当てを話し会っている。もちろん通常は前年のうちに与野党で話を詰めているのであるが、今年は選挙による多数党交代に、ロット院内総務の退任騒ぎなどの混乱が加わりその辺(特に委員会の予算割り当てについて)の詰めがうまくいかなかったため、開会しても各委員会の委員長が決まっていないという状態。それでもいいんだ(問題さえなければ、あるいは問題が生じるまでは)という考え方はアメリカ的だ。
1月某日
とある元銀行委員会共和党スタッフから、引退するグラム委員長が雇っていた5人の上院銀行委員会のスタッフのうち、後任となるシェルビー上院議員は1人しか雇わなかったと聞き、同じ共和党でもそんなもんか、と思う。党派別に別れている委員会スタッフも、雇っているのは「党」ではなく「人」という現実。
1月某日
午後1時間ほど国立美術館を回る。1時間なので19世紀フランス部門に絞る。先日のバーンズコレクションの興奮冷めぬうち、とセザンヌの15点をじっくり鑑賞。彼の静物画は、どこかゆがんでいるような不安定さを伴っている事が気になる。心なしか台が斜めに見え「静物」のはずの果物が今にも転がり出すのではないかという感じ。風景画の奥行きの表現の巧さ。かえってビデオを見返してみたら、ビデオで見た方がさらなる奥行きを感じたのは不思議だ。
またゴッホの8点もじっくり鑑賞。「この人どこかおかしい」と思わせる奇抜さに驚くと共に、自画像の「眼」の冷徹な描写が与える恐怖感は、彼自身の世界に対する恐怖感の裏返しではないかとふと思う。彼の周囲に近づくにつれ濃さを増す青い背景が、ブラックホールのように彼を見つめるこちら側(=現世)との距離を遠ざけようとしている。
ビデオ撮影も放任の国立美術館はホントにこれでいいのだろうか。カメラOK?と聞くと、「正面からとるとフラッシュが反射するから、少し斜めからとるといい」と丁寧に解説してくれた学芸員(監視員?)がいる美術館は世界中でここだけだろう。
1月某日の夕食(自炊)
焼肉、茹で野菜、タマネギとキノコのソテー、おにぎり。きれいに盛りつけ記念写真。
1月18−20日のダラス旅行は別ページ。
1月某日
台所備え付けのゴミ処理マシンがプラスティックのスプーンを巻き込んで以来壊れていたので、高額な修理費がかかったらどうしよう、、、と怯えつつ修理をお願いすると、インド系のおじさんが鉄パイプ一本を持って登場。鉄パイプで5秒ほどガリガリガリと無理矢理刃を回すと、にっこり笑って「直ったよ」。で、実際直っている。そんな原始的な、、、。でもお金がかからずに良かった。
1月某日 ケネディセンターで、コンテンポラリーダンス。
Martha Clarke作「Vienna:Lusthaus」。セリフもある、ストーリー性を持った、激しいダンスではなく、というべきか。激しく動き回るのではない。エロティックなものもあるが、意味が分からない。セリフも英語が聞き取れないけど、ストーリー展開の上で重要ではない気がするし。ううん、、、と唸ったのは自分だけかと思ったが、観客の拍手の少なさ、短さを見て、皆同じ思いかな、とも思った。
ナショナルカセドラルに初めて入る。日曜の5時からパイプオルガンのリサイタル(1時間くらい)をやっているのを知る。パイプオルガン1台でオーケストラのように広く深い世界の表現ができるのだな、と新発見。任意の寄進だけで楽しめる。日曜の5時という特に何もせずに過ごしがちな時間故、リピーターになりそう。
1月某日
最近の寒さはどういうことだ。ポトマックが凍っている。珍しいことらしい。
夜同僚に誘われ、3人でジョージタウンのジャズクラブ“Blues Alley”へ初めていく。 JOHN PREVITI QUINTET (Bass) with BIG JOE MAHER (Drums), JOHN COCUZZI (Keys/Vibes),
RICK WHITEHEAD (Guitar), & Special Guest MARIANNA PREVITI (Vocals)というメンバー。鉄琴が印象的。一音一音が澄んでいて、かつ流れるような滑らかさ、時に激しさ。視覚的にも激しいバチ捌きは見応えあり。Blues
Alleyは何より天井の低い煉瓦の建物の中で感じる世間との隔絶、連帯感がいい。入場料18ドル、ミニマムオーダー9ドル等で、最低でも30ドル程度はかかるが、料理は値段の割に量が少ない(日本サイズ)でやや不満。月曜とあってか、客は20名程度とガラガラ。ドラムのおじさんもMCで「ライブミュージックの環境は悪くなってきている。でもライブはいいだろ」と言うようなことを言っていた。
外は寒く、100mほど歩いただけで、体の心まで冷え、急速な体温の低下、運動能力の麻痺を感じた。あと3分いたら危なかった。帰ってベランダに温度計をおいてみたら、マイナス7度であった。
1月28日 大統領一般教書演説
昨年の“axis of evil”ほどのインパクトのある言葉はない。なんかキャッチフレーズを考えればいいのに。イラクを負かしてもその後の混乱は大変ものになるだろうに、それでもアメリカは戦争に突入するのか。