11月26日〜30日 オランダ「レンブラント・ゴッホの5日間の旅」

11月28日(2日目) マウリッツハイス美術館へ。

ここは小規模の美術館であるが10点のレンブラントの作品と3点のフェルメールの作品を重点的に鑑賞。この美術館は、やや暗めの室内であるが、照明がシャンデリア風で、写真(フラッシュ無い限り可)に撮るとこれが絵のガラスに反射して写り込んでくるので始末が悪い。良い写真を撮らせないための意図的な照明か?

 

【レンブラント】

「テュルプ博士の解剖学講義」(写真)はレンブラントの代表作のひとつ。「夜警」と同様、この絵も意外な大きさ(3m×2m)に驚く。登場人物は等身大、と言ったら大体の感じがつかめようか。中央の灰色の死体、その周りを囲む博士と生徒。生と死のコントラストが見事。「生者」の中でも「博士」の表情のない、学者として世俗を超越したかのような表情が生と死の「間」の存在であるかのようで印象的で、名作の名に相応しい。

「ホメロス」(写真)は声にならない声を出しているかのような表情。実際は盲目の姿らしい。また、その仕草は、落語の一シーンを捉えているみたい、、と思った途端に思考が止まった。

「羽根飾りの帽子を被った男の肖像」(写真)半開きの口の具合がよろしい。陰影のバランスが自然で、窓からの自然光で明るくなっているのかと一瞬思ってしまうほど。

「笑う男の肖像」は葉書大だが、側で見てみると大胆な筆使い。引きつったような、どこか悲しさを感じさせる表情だ。

「自画像」はかつてはレンブラント作とされていたが、現在はunknown artistとされている作品。近年の研究で、似た絵(従来は)弟子の作品とされていた)との評価が逆転したそうだが、そんなことは専門家に任せるとして、これ自体も育ちの良さそうな顔をした良い作品。作風の判定は難しい。気まぐれに作風を全く変えてみて作った作品という可能性もあるし。

別の「自画像」はこれはお墨付き。でも、肥っていてバランスの悪い体である。威厳は感じられるけど。

その他「二人の黒人の肖像」、何か死人みたいで苦手な「老人の肖像」などの作品も時間をかけてみることができて楽しかった。

 

【フェルメール】

View of Delft(1660):奥の明るい日差しと手前の暗さ陰の描き分けが見事。少しヴェールの掛かったような印象があるが、近くで見ると細かい筆遣いがよく分かる。「Diana and her nymphs(1655)

Girl with Pearl Ring」(写真):「青いターバンの女」という俗称が有名になるのも分かる。真珠には目がいかない。でもこの女性「眉毛がない」。実物は気味が悪い顔だったのではと思うのだが、絵ではそんな感じもない。じっくり見てみても、可愛いのか可愛くないのか、性格はいいのか悪いのか、全く分からない不思議な顔だ。単に何も考えていないだけとも思えるのだが。

 

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