9月某日 ゲティスバーグ日帰り旅行
ゲティスバーグは、南北戦争の激戦地でかつ、リンカーンの有名な演説の地。一度は行ってみたいと思っていたところ。
DCから北西へ片道1時間30分。リッチモンドよりは近いか。ツーリストインフォメーションセンターで、Auto Tourのパンフレットをもらう。パンフレット中の地図の通りの順路で十数カ所の史跡を順次車で訪ねていくと、一通り、南北戦争の転機(これを機にそれまで劣勢だった北軍が盛り返した)となったゲティスバーグの戦い(1863)、が分かるようになっている仕組み。行く前は、Unionって北軍?、南軍?のレベルであった自分も(正解は北軍。南軍はConfederate)、パンフレットを読んで大分分かった気になった。観光客は結構多いが、年寄りばかり。
AutoTourで訪ねて回るも、単なる田舎の野原といった趣。道沿いに当時の(?)大砲が飾られ、慰霊碑のようなものが建てられているが。戦場であった昔の地形はどうやらそのままのようで、この丘を拠点に平原を攻めてくる南軍を狙い撃ちしたのか、、などという感じで見ることが出来る。ちなみに戦闘の最終局面で南軍は、北軍の占領する丘を目指し、見晴らしのいい2キロの平原(写真右)を15000人で、真っ直ぐ突っ込んでいったとか。150人しかたどり着かず、しかも無惨な最期を遂げたという。そりゃそうだ。
とはいえ、「戦場跡」の表示がなければただの静かでのどかな田園風景。桜の木の下には死体が眠っている、という梶井基次郎の有名な一節が不意に思い出された。
またゲティスバーグは、リンカーンが1863年11月19日、ゲティスバーグの戦いでの戦死者の慰霊式典で、あの有名な演説をした場所(左写真のモニュメントのあった付近で演説したらしい)でもある。町中で偶然見つけた「リンカーンの部屋博物館(そのままThe Lincoln Room Museum)」を訪れる。3.5ドル。博物館といっても実質「一室」。リンカーンがゲティスバーグ演説をする前夜に宿泊した部屋がそのままに保存されているだけ。その中に、等身大の人形が机の前で演説の推敲をしているところが再現されている。20分ほどのテープが流れ、ゲティスバーグ演説に至る経緯の解説と、最後に演説が読み上げられる。当時は演説と言えば2時間くらいは当たり前だったようだ(リンカーンの前の演者の演説は2時間あったということ。貧血になる人が出そう)が、リンカーンの演説は数分間と当時にしては異例の短さであったという。スピーチの中最後があの有名な
"The Government of the people, by the people, for the people,
will not perish from the earth."
テープであるが、人が読んでいるのを聞いていると、臨場感を感じる。日本でこれに相当する名演説、、、と思ったら、
「我が巨人軍は永遠に不滅です」が浮かんできて頭から離れずに困った。
「永遠に不滅」、、、「おなかが腹痛」的な反復があるこの言葉であるが、考えてみれば、リンカーンの言葉も"by the people, for the people"であれば、"of the people"は、ほぼ自明なわけで同様の問題を含んでいないわけでもない。だから何だ、と思いつつ。
ゲティスバーグの街は4階以上の建物が無く、1860年当時もこんな感じだったんだろうと思われる。景観を保存して敢えてそうしているのか、本当に寂れているのか判別しがたいところがよい。
リンカーンメモリアルと併せて、アメリカの歴史、リンカーンの偉大さを感じるには充分な観光地。ただ、正直言って、2回行くことはないと思う。