DC色々体験記
2003年2月
2月1日
映画「Girl with a pearl earring」を見る。フェルメールの同名の絵画を題材にした映画。フェルメールの作品を意識した構図が映画の随所に現れる。あの絵画はこのような空間で描かれたのか、とオランダで実物を見てきた(自慢!)ため、感慨に浸ることしばし。絵画が動き出しているかのような感覚に、映画の善し悪しよりも自分自身の思い入れに重ねて見た感が強い。といって映画の出来も良い、主演女優も感情を抑えた役柄を好演。満足。9ドル25セント。ベセスダにて。
スーパーボウルをTVで見る。好ゲーム。合間のCMに、麻薬・アルコールから青少年を守るための啓発CM、たばこの害をアピールするCMしばしばあったのに感心。TV局にとって一番儲けられる時間帯のCMをこういったものに提供するとは。もっともNGOに対する寄附等が盛んな米国だから、それなりにお金を持っている団体があるのかもしれないが。話題のハーフタイムショーは風呂に入っていて見逃した。
2月某日
米国議会、フリスト上院院内総務の部屋にリシンが送りつけられたことをニュースで知る。夜、フリスト院内総務の部屋にリシンが送りつけられたことをニュースで知る。炭疽菌騒動の時は、それが9/11のすぐ後であったこと、同時に多数の場所に送られたこともあって大騒動だったようだが、今回は、一カ所のみで、議会警察で生物・化学兵器対策が取られていること(「リシン」を「リシン」と判別できる検査器具を持っていることには驚いた)もあり、議会の反応はかなり冷静。「テロ慣れしている」とも言え、もうすこし浮ついた対応があるのがむしろ正常ではないのか、と思うのだが。
2月某日
ここのところ、仕事が一気に増えた。
19(木)夜−22日(日)で、ヨーロッパに行ってやろうとここのところずっと計画を練って、19日夜発のパリ(デルタの直行便で409ドル)又は、バルセロナ(KLMのアムステルダム経由で411ドル)のどちらかを予約する寸前まで行った。どちらにせよ、ホテルが1泊100ドル以上で、2泊200ドル。なんやかんやで800ドルくらい掛けて、実質2日、、、と考えていたところ、ふと、この時期のNYは、と調べてみると、1泊100ドルで十分3星に泊まれることが分かり、一気に方向転換。NYのメトロポリタンとグッゲンハイム、ホイットニーをこの際ゆっくり見てみよう、と。
バルセロナは米国から安く行けるが、見所が多く、現地で最低3日は欲しい。もっと長期の休暇で行くことにしよう。
2月某日
最近聴いた、アメリカで定評のある2人の政治評論家・選挙予測家の言葉。
チャーリー・クック(選挙予測ではかなり定評がある。日本で言えば福岡政行、小林良彰)
「副大統領候補が誰になるか、全く予想は付かない。仮に当てた人がいるとすればそれは全くの偶然(accidental)にすぎない。誰がかつてクリントンがゴアを、ブッシュがチェイニーを、またゴアがリーバーマンを副大統領候補に選ぶと予想しただろうか。」
ステュワート・ローゼンバーグ(政治評論家。日本で言えば、、、誰だろう。)
「(民主党大統領候補予備選について)「アイオワの予備選(コーカス)の前は、『80%の確率で勝者が決まった』と言っていた。1月が経ち、サウスカロライナ、ミズーリなど7州の予備選が終わった今も、その言葉は変わらない。只問題なのは、念頭にある候補者の名前が(ディーンからケリーへと)変わったということだ。」
いずれもアメリカのメディアの状況・選挙の予測の難しさを端的に表していて面白い。
2月某日
映画"Lost in
Translation"は、こちらのアメリカ人と話す時の良い話題。アメリカ人の関心は、圧倒的にウイスキーのディレクターが話す彼らにとっては意味不明の言葉の内容。説明してあげると喜ばれる。もうひとつは藤井隆。彼が実在の、あのままのキャラクターで、あの番組も実在することを教えてあげると非常に驚かれる。
2月某日 写真はクリックすると拡大します。
久々にナショナルギャラリーへでかけてみる。相変わらず17世紀オランダは閉鎖中。
いつもの通り、本館2階で、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、ルノワール、ピサロ、マネetcの定番のラインナップを楽しむ。今回は、Latourという画家の絵のタッチが、同年代のルノワールなどと違っていて気になってので1枚。
東館(現代美術)地下の展示も久々にゆっくりと。Barnet Newmanの作品で埋められた部屋(1st stationというタイトルの絵。1stから順に14th stationまである。)はなかなか良い。しかし、こういう連番モノって結構ビジネスとしてはいいのではないか、と邪な感想。でも一つ一つの感じはよい。
草間弥生の黄色いネットの絵、ウォーホールのキャンベルスープ缶も印象に残った。3階のピカソ、デビュッフェ、マチス、ジャコメッティ、オキーフなども楽しい。今回デビュッフェが心に入ってきた。子供の落書きのような自由な筆の走りなのに構図に安定感があり、またタイトルの意外感も良い。明らかに砂漠の中の絵なのに、そこには触れず「They hold Council」って、結構深い。2時間ほどで、集中力が切れる。安売りの20世紀の写真集、マンレイの写真、20世紀デザインの本(各5ドル)を買った。
2月は逃げる。3月へ。